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53抗真菌薬

 真菌の代表が白癬菌で,水虫と患者様が思っておられるものはふつう白癬菌の感染ですが,白癬菌以外の場合もあります。さて,抗真菌薬は

 1 白癬菌以外のほとんどの真菌には効かないが,白癬菌には強い
 2 白癬菌も含めほとんどの真菌に効くが,白癬菌に対する効果は1に劣る

の,2通りにわかれる,と把握すればいいでしょう。

 また,塗り薬では爪白癬ではききにくいため,飲み薬が第一選択となります。

 その他,塗り薬には液体とクリームがあり,爪は液体,爪以外はクリームとするのがよいという考え方もありますが,最近の薬剤はできがよいためあまり使い分けをする必要はないとする考え方もあります。

 以下,当院で採用している薬剤をあげました。

メンタックス(クリーム・液)

 上記の1のグループに入ります。つまり,これは白癬菌で間違いなく,ほかの真菌は否定できる,と「決めうち」ができるときに使います。


マイコスポール(クリーム・液)

 上記の2のグループに入ります。つまり,白癬菌以外の真菌が否定しにくいときは,こちらを使います。


ニゾラール(クリーム・液)

 これも2のグループに入ります。また,脂漏性皮膚炎という,真菌がいてその分解物が湿疹を生じる病気にも使います。(脂漏性皮膚炎の患者様が薬局で,「水虫ですか」と聞かれたら患者様が困るので,医者は患者様にきちんと説明する必要があります。私は処方箋に「脂漏性皮膚炎」と付記します)


ラミシール(クリーム・液・飲み薬)

 こちらも2のグループに入りますが,内服薬もあり,爪の水虫には使われます。


イトリゾール(飲み薬)

 これはも2のグループに入りますが,爪の水虫に使います。以前は半年か一年間毎日飲む方法でしたが,現在は一週間で四週間分の薬をまとめてのみ,残りの三週は休薬する事を三回繰り返し,計三ヶ月だけの内服で終了する「パルス療法」が実施されるようになりました。