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12代謝異常症・皮膚形成異常・萎縮症

<この項で出てくる主な疾患と簡単な診断法>

アミロイドーシス:さざなみ様の色素沈着,あるいは盛り上がりがある。高齢者のお尻の真上に見られる。ナイロンタオルを使っている人にも見られる。透析の患者でも生じる。かゆみが強いものも多い。

<詳説>

アミロイドーシス

 アミロイドーシスは,アミロイド繊維が臓器の間質に沈着し,病変を生じた状態をいいます。組織化学染色上,シスターゼ抵抗性PAS陽性です。

 アミロイドーシスは原発性全身性アミロイドーシス(巨舌・心障害・皮膚硬化・紫斑が特徴),続発性全身性アミロイドーシス(透析によるものの他,多発性骨髄腫に合併しやすいなど,癌に附随する可能性を示唆されています。),皮膚アミロイドーシスがあります。ここでは皮膚アミロイドーシスを説明します。

 1 アミロイド苔癬 色素沈着,角化。

  40〜50台の男性,上腕・下腿伸側に好発。

 2 斑状アミロイドーシス 20〜50台の女性に好発。

  瀰漫性色素斑と,その内側にさざ波状配列。

 3 二相性アミロイドーシス 上記二者の混合。

 4 Friction melanosis 若い女性。ナイロンタオルでの摩擦による。

 5 萎縮性アミロイドーシス

 治療としては,ステロイド外用を用います。そう痒を伴う場合は,抗ヒスタミン剤内服も併用します。

 掻爬,ナイロンタオル使用を避けます。

黄色腫

 病理学的に,泡沫細胞(コレステロールエステルを含んだマクロファージ)が認められます。高脂血症に合併しやすいとされていますが,最も頻度が高い眼瞼黄色腫の過半数は高脂血症を伴いません。

 眼瞼黄色腫や,大型のものについては,整容上切除あるいはレーザー照射で除けます。ただし,再発しやすいようです。

 高脂血症があれば,食事療法および内科的治療が必要です。

石灰沈着症

 主にリン酸カルシウムが沈着します。栄養障害性(血中Ca,Pは正常),転移性のものがあります。

Ehlers-Danlos症候群

 皮膚は柔らかく過伸展性。関節も過伸展(クモ指)。コラーゲンの代謝異常が一部の型で証明。

皮膚弛緩症

 皮膚の弾力性がなく,弛緩して下垂する。先天性のものと後天性のものがある。

弾力繊維性仮性黄色腫

 弾力繊維の系統的変性。黄色の柔らかい小丘疹がほぼ対称性に多発集簇。合併症として眼症状(眼底に血管様線条angioid steaks,梨子地様眼底),消化管出血。

色素異常症

 メラニン異常,フェノルケトン尿症。

色素性乾皮症

 DNA helicaseの異常。

亜鉛欠乏症

 特殊な点滴の患者,偏食など。亜鉛欠乏症候群として腸性肢端皮膚炎(四肢末端や開口部に皮疹。

ペラグラ

 トリプトファンから合成されるニコチン酸の欠乏症。最近はほとんどない。

 日光照射後の灼熱感・そう痒を伴った赤褐色紅斑。頚部に日光露光部に一致して首飾り状に生じる。手背にもあり。やがて色素沈着へ。

 治療は食事改善,ビタミンB群特にニコチン酸アミドの大量投与。