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09血行障害

<この項で出てくる主な疾患と簡単な診断法>

レイノー現象:手の指が発作的に疼痛が起こり,白→紫→赤と三相性の変化を来す。膠原病で起こりやすい。

静脈瘤:下肢の静脈が拡張・蛇行して盛り上がっている。皮膚の傷が治りにくい。太った人に多い。

うっ滞性皮膚炎:静脈瘤に伴う湿疹。

<詳説>

網状皮斑

 末梢循環障害に起因する網目状の皮疹をいいます。温熱性紅斑(ひだこ)などがあります。

レイノー現象

 指趾の小動脈が発作的に攣(れん)縮することにより疼痛が起こります。白→青→赤と三相性の変化を来します。これが反復すると点状壊死・壊疽を生じます。

 膠原病の症状としてもあらわれます。強皮症では,初期症状として特に重要です。他にシェーグレン症候群・全身性エリテマトーデス・皮膚筋炎・関節リウマチでも生じます。

 職業性に生じるものとしては,電気鋸の振動による白鑞病が有名です。

 治療は,ビタミンE,血管拡張剤を用います。難治性の場合はリプルの点滴も行います。

 冬期の防寒,カイロの利用,夏はクーラーをかけすぎない,冷水の使用はさける,エアコンの効いている店に入ったり冷蔵庫に手に入れる時は手袋やマッサージ,と生活指導が必要です。

静脈瘤・うっ滞性皮膚炎

 下肢の静脈が拡張・蛇行した状態で,白人に多い疾患です。一次性に生じるものもありますが,深部静脈血栓症のために二次的に生じる場合もあります。

 外傷により潰瘍が生じやすくなります(下腿潰瘍)。また,下腿はシャンペンボトルを上下逆にした形,つまり足首がくびれ,それより膝側が太い状態となります。皮膚は黒褐色を呈し,湿疹も生じやすくなります(うっ滞性皮膚炎)。

 安静・長時間の立ち仕事の禁止,弾性ストッキングの着用が必要です。潰瘍が生じればそれに対し治療も必要です。