08血管炎
<この項で出てくる主な疾患と簡単な診断法>
皮膚アレルギー性血管炎:足が赤くはれたり,水ぶくれができたり,しこりができたり,治りにくい傷ができたりする。
<詳説>
皮膚結節性多発性動脈炎(PNC)
結節性多発動脈炎(PN)のうち中小動脈がおかされるタイプ(古典的PN)で,症状が皮膚のみに限局するものを皮膚結節性多発性動脈炎(PNC)といいます。分枝状皮斑を基盤として生じることが多いことから,livedo vasculitisとも呼ばれます。組織学的に真皮深層の中血管に異常があり,自己抗体ANCAが病因とされています。
安静,NSAID,ステロイド剤(特にパルス療法)で加療します。
アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)
激しい喘息が先行し,その後血管炎の他,好酸球増多症,多発単神経炎,潰瘍と多彩な症状があり,組織学的に壊死性血管炎,肉芽腫反応(フィブリノイド変性,好酸球浸潤)を示します。なお,Churg Strauss症候群ともいわれます。
検査:血沈亢進,白血球贈多,IgE上昇。
ステロイド内服により加療します。
皮膚好酸球性皮膚炎
好酸球浸潤を主とする血管炎で,膠原病を伴うもの,悪性腫瘍を伴うもの,それ以外の三つに分類されます。
皮膚アレルギー性血管炎
皮膚結節性多発性動脈炎(PNC)とは異なり,組織学的には真皮上層の細小血管の壊死性血管炎が認められます。足が赤くはれたり,水ぶくれができたり,しこりができたり,治りにくい傷ができたりします。
安静,NSAID,ステロイド剤などで加療しますが,悪性腫瘍の合併が多く要注意です。
急性苔癬状痘瘡状粃糠疹(PLEVA)
紅暈を有する黒色痂皮で覆われた丘疹が多発します。
組織所見:リンパ球性血管炎,表皮内浮腫,リンパ球表皮内侵入,表皮壊死。
Wegener肉芽腫症
上気道,肺,腎臓の順に侵していき,全身の壊死性血管炎の症状が加わります。病因は不明ですがC-ANCAが特異的に高く,病勢と平行します。皮膚症状は紅斑・紫斑・潰瘍などがあり,組織所見としては壊死性血管炎の他壊死性肉芽腫があります。
治療は,ステロイドと免疫抑制剤の併用が必要です。
Mondor病
リンパ管・静脈の増殖性閉塞性炎症です。主として女子の前胸部などに存在する索状皮下硬結で,圧痛があります。多くは3ヶ月以内に消失します。
Buerger病
閉塞性血管炎ともいいます。下肢片側性に冷感・蒼白化があり,ついで間歇性跛行をきたします。
患肢末端に疼痛が反復し,遊走性血栓性静脈炎も生じます。
治療は,喫煙厳禁で,血管拡張剤・抗血小板剤・抗凝固剤の投与です。
川崎病
乳幼児に多い疾患です。
発熱後,体幹・顔・四肢に不定形発疹が出没し,大きく地図状になることもあります。四肢末端に紅斑・硬性浮腫・膜様落屑が生じます。その他,眼球結膜充血,急性リンパ節腫脹,口唇の発赤・乾燥・亀裂,苺状舌も認めます。
冠動脈瘤などの心血管障害も有名です。
急性期は入院が必要で,抗血栓療法,γ-グロブリン大量点滴,輸液を行います。