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04蕁麻疹(じんましん)

<この項で出てくる主な疾患と簡単な診断法>

蕁麻疹:限局性に一過性に皮膚が赤くもりあがってくる。かゆみも伴う。

慢性蕁麻疹:蕁麻疹がなかなか治らない状態。抗アレルギー薬を飲んでいたら症状は収まるが,薬をやめるとまた症状が生じる。

<詳説>

蕁麻疹

 一過性の真皮あるいは皮下における限局性の紅斑性・浮腫性病変です。マスト細胞の表面のIgEが架橋され活性化しヒスタミン遊離により毛細血管透過性亢進が認められます。なお,湿疹は表皮内の反応である点が異なります。

原因

 薬剤:サリチル酸,クラーレ,コデインなど

 食物:小児や急性蕁麻疹以外では低頻度です。

  食後数分〜数時間で発症。数日間持続します。卵,牛乳など。

 食品添加物:着色料など

 吸入物:花粉,煙草の煙など。

 精神的要因:30〜50%には精神状態が関与しているといわれています。

 その他,前進的疾患が影響している可能性もあります。

接触蕁麻疹

 原因物質との接触部位に膨疹が生じます。全身の膨疹,喘息,鼻炎,時にアナフィラキシーも生じますので注意が必要です。

 オープンパッチテストで20分後に起こることもあります。

人工蕁麻疹

 皮膚をこすることにより,紅色の皮疹が出現します。出現から消褪するまで15分から1時間かかります。類似の疾患として,圧迫蕁麻疹もありますが,こちらは圧迫から2〜8時間で出現します。

コリン性蕁麻疹

 若い人に多いようです。運動,入浴,発汗などで起きます。寒冷蕁麻疹もあります。

日光蕁麻疹

 光で起こります。

Urticarial Vasculitis

 中年女性に好発する再発性持続性蕁麻疹様発疹で,血管浮腫状です。検査所見はSLEに似ていますがSLEの診断基準は満たしません。

原因検査

 問診が重要です。個々の発疹の持続時間や誘因を調べることになります。ただ,不明に終わることもあります。

治療

 原因の除去をすることですが,食品添加物などでは除去は困難です。抗ヒスタミン・抗アレルギー剤を用います。ステロイド内服もありますが,効果は乏しく,長期投与は避けるべきです。重症時は入院させソリタT3の点滴静注などを行います。